早死にするって聞くけど本当?
放射線技師に興味があるけど、こんなうわさを聞いて心配になっていませんか?
大丈夫!
放射線技師は安全なお仕事だよ。
- 放射線を扱うということは被ばくするんでしょ?
- 被ばくしたらがんになって早死にするのでは?
と思うかもしれませんが、実際には
放射線技師はほとんど被ばくしません。
この記事を読めば、放射線技師が安全な職業であることがわかりますよ!
また、
「がんになりやすいって本当?」
「妊娠しずらくなるって本当?」
などのよくある疑問にもお答えしていきます。
放射線技師は早死にって本当?
放射線技師は安全な職業です
結論から言うと、
放射線技師が放射線の影響で「早死に」するということはありません。
放射線技師は安全な職業です。
では、なぜそう言えるのか?
放射線技師は本当に安全なのか?
について解説していきます。
放射線技師は早死にって本当?
危ないと言われる理由
放射線技師が「早死に」「危ない」と言われる理由は主に以下の3つが考えられます。
- 放射線を扱うから危ない
- 放射線の影響を受ける(被ばくする)
- 放射線へのマイナスイメージがある
つまり、放射線技師についてよく知らない人が
「放射線」=「危険」
というイメージから
「がんになる」「早死にする」
と言っていると考えられます。
放射線を扱うから危ない
放射線技師が行うレントゲン検査やCT検査、放射線治療などは「放射線」を使用しています。
その放射線を使った検査を毎日何十回、何百回もしている放射線技師は
普通の人よりも被ばくしている
と感じるのかもしれません。
後ほど説明しますが、たくさん検査した分被ばくするわけではありません。
放射線の影響を受ける(被ばくする)
放射線には「発がん性がある」というイメージがある方も多いでしょう。
そのため
放射線の影響によってがんになり早死にするのでは?
と思われているようです。
放射線技師だからといって発がん率は高くならないよ。
放射線へのマイナスイメージがある
チェルノブイリ原発事故や福島第一原発事故の影響で
放射線は「怖い」「危ない」
というイメージを持っている人が多いと思います。
チェルノブイリ原発事故では多くの方が放射線の影響により亡くなっているので、放射線が怖いと思うのは当然です。
また、医療現場で原子力発電所のように強いエネルギーの放射線を扱うことはありません。
放射線技師は早死にって本当?
危なくない理由
放射線技師は危険な仕事ではありません。
その理由は以下の4つです。
- 医療機器の進歩
- 被ばく対策が取られている
- 実際の被ばく量は少ない
- 身近にも放射線はある
詳しく見ていきましょう。
医療機器の進歩
医療機器も日々進歩しています。
レントゲンを撮影する装置もデジタル化が進みFPD(フラットパネル)という機器を使用しています。
このような機器の進歩により、少量の放射線で検査ができるようになっています。
受診者さんだけでなく放射線技師も被ばくしにくい環境になってきてるんだね。
被ばく対策が取られている
放射線を扱う部屋には放射線を通さないように特別な工夫がされています。
そのため、部屋の外で撮影すれば被ばく量はゼロと言えます。
通常、技師は部屋から出て撮影するよ。
ドアや窓ガラスなどにも鉛が入っていて、放射線を通さないようになっていますよ。
マンモグラフィー検査は同じ部屋内で撮影をしますが、しゃへい版という放射線を通さないガラス版の後ろに隠れるので、被ばくしません。
わたしもマンモグラフィー検査をしていますが、被ばくしていないよ。
また、介助が必要な場合は放射線を防御するプロテクターを身に着けて撮影します。
放射線を防護するプロテクター
実際の被ばく量は少ない
担当する部署にもよりますが、
通常はほとんど被ばくはしない
と言っていいでしょう。
放射線技師など、放射線をあつかう仕事に就く場合はフィルムバッジといわれるガラス線量計を身に着けて被ばく量を測っています。
実際にわたしも線量計を付けていますが、
結果はいつもゼロで、被ばくが感知されたことは一度もありません。
下の画像は実際の測定結果です。
赤枠部分がわたしのデータです。
つまり、M=被ばく量がほぼゼロということになります。
累計も「M」となってるので、これまでの104回(104ヵ月間)の結果、被ばく線量はずっとゼロということになります。
身近にも放射線はある
放射線と聞くと特別なもののように感じますが、実は私たちの身の回りには日常的に放射線が存在し、知らず知らずのうちに放射線を受けています。
放射線には自然放射線と人工放射線がありますが、受ける放射線の量が同じであれば、影響は同じです。
自然放射線は、
下図の4つのルートから受けています。
日常生活において放射線被ばくをゼロにすることはできません。
飛行機に乗ると実は被ばくしているよ。
自然から受ける放射線の量は、
世界平均で1人あたり年間2.4mSv、
日本平均では年間約2.1mSvです。
自然放射線は国や地域によりばらつきがあり、
国や地域の中でも差があります。
同じ日本でも地域によって差があるよ。
放射線技師は早死にって本当?
危険度はどれくらい?
では、実際に放射線技師はどのくらい被ばくしているのでしょうか?
- 放射線による人体への影響
- 法律で決められている線量限度
- 放射線技師の被ばく量
から、放射線技師の危険度を見ていきたいと思います。
確定的影響と確率的影響
放射線の人体への影響には以下の2種類があります。
- 確定的影響
- 確率的影響
確定的影響
確定的影響は「一定量の放射線を受けると、影響が現れる」現象をいいます。
また、受けた放射線の量が多くなるほど、影響も大きくなります。
確定的影響は、放射線を受ける量を一定量(しきい値)以下に抑えることで防ぐことができます。
確定的影響には「しきい値」があり、主なしきい値は以下の通りです。
確率的影響
確率的影響は、一定量の放射線を受けると必ず影響が現れるわけではなく、「放射線を受ける量が多くなるほど影響が現れる確率が高まる」現象をいいます。
しきい値がないと仮定する影響です。
ガンや白血病は確率的影響です。
放射線の量が多くなったからといって、症状が重くなるわけではありません。
線量限度
放射線技師が業務中に受ける被ばくのことを「職業被ばく」といいます。
放射線を扱う職業の人は線量計を身に着けており、被ばく線量を計測しています。
仕事中は線量を測るためにフィルムバッジ(線量計)を付けてるよ。
そして、線量限度以下になるように線量を管理しているのです。
日本では「電離放射線障害防止規則」によって以下のように線量限度が決められています。
実効線量限度 | 等価線量限度 | |
---|---|---|
通常作業 | 100mSv/5年かつ50mSv/年 | 水晶体:60mSv/3年かつ50mSv/年 |
皮膚:500mSv/年 | ||
緊急作業 | 100mSv | 水晶体:300mSv |
皮膚:1Sv | ||
女子 | 5mSv/3月 | |
妊娠中の女子 | 内部被ばく:1mSv | 腹部表面:2mSv |
水晶体の線量限度は、だんだん厳しくなってきてるよ。
等価線量は、人の臓器や組織が個々に受けた影響を、放射線の種類によって重み付けしたものです。
実効線量は、組織が受けた影響を全身分に換算しています。
臓器ごとに受けた等価線量の単純平均ではなく、臓器ごとの放射線の感受性の違いで重み付けをしています。
職業被ばくの量
では実際にどのくらい被ばくしているかというと、職種別には以下のようなっています。
職種別の平均実効線量では
放射線技師が最も被ばくしている
ことがわかります。
しかし、
多くの人は年間に5mSv以下であり、平均実効線量も0.77mSvとかなり少ないことがわかります。
実効線量が20mSv以上となる割合は医師で高くなっているね。
眼の水晶体の被ばくには下記のようなデータもあります。
水晶体に関しても、実効線量が20mSv以上となるのは放射線技師よりも医師の割合が高くなっています。
水晶体の等価線量低減には下図のような防護メガネも有効です。
放射線技師の被ばく量は少ないので健康に影響しない
放射線技師の被ばく量はきちんと線量計で管理されていますし、実際の被ばく量もかなり少ない人がほとんどです。
わたしも毎年被ばく量はゼロだよ。
つまり、
- 放射線技師の被ばく量は少ない
- 仕事中の被ばくによる健康への影響はない
のです。
つまり、
放射線技師が「早死に」するというのは間違いだと言えます。
放射線技師は早死にって本当?よくある疑問にお答え
【まとめ】放射線技師は早死にしないし、危ない仕事でもない
この記事では、放射線技師が「早死にする」「危ない」仕事って本当なの?
について解説しました。
結論、
放射線技師が放射線の影響で「早死に」するということはありません。
放射線は危険というイメージから、放射線技師も危ない仕事だと思われるかもしれませんが
実際には、放射線技師は安全な職業です。
もちろん、他の職業よりも被ばくする可能性は高いです。
しかし、放射線技師の被ばく量はごくわずかで、健康に影響はありません。
医療現場では、原発事故のような危険な事故も起こらないよ。
ですので、放射線技師の被ばくについて心配する必要は全くありません!
とはいえ、
血管造影や透視、核医学などの検査は多少被ばくする可能性がありますので、心配な場合は、このような検査をすることがない病院を選びましょう。
クリニックや健診センターならほとんど被ばくの心配はありませんよ。
結婚して妊娠を考えている場合は、より被ばくしない職場へ転職を検討してもいいかもだね。
わたしのように
放射線技師でも、ほぼ被ばくしない働き方は可能だと知ってもらえると嬉しいです。